超近日中小説「銀座から高円寺まで」②舌笑

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前回からの続き)

ちょうど良かった、今月のハッピー高円寺が置いてたわ。

ハッピー高円寺9月号

 

で続いてはと・・・ふっ、やっぱ、ここにいたわ。

「すごいな、ねーちゃん。よくここが分かったねぇ!」

 

弟のたけしが、場所を問い合わせずにいきなり到着したわたしに本当にびっくりしている。そんなあたりまえのことよりも、もうすぐ2時だけど、3時まで開いていてくれるのには何度来ても頭が下がるわ。

それも本当に、わたしの気持ちを分かっていてくれてるかのようなメニューと雰囲気がそろっているというのにね!

メニューも調理場もカウンターも机も、そもそもこの狭い階段を上るということも、すべて本来そうあるべきって感じがするのよね。まったく不自然じゃないっていうか。

弟には「必然性」って言ってみようかって今思ったけど・・・ややこしくなりそうだから、また今度にするか。

 

「えっと、ワインではなくて、果実酒で夏みかん&パイン・・・あと、冷やしトマトのアンチョビーソースと、鶏レバーのオイル漬、それと・・・」

 

ワインを飲んでいたらしい弟が、果実酒に変えてきたわ。わたしも今日はそれにしよう!

(ブー)

またメール?こんな時間にだれかしら?あら、めずらしい今日子からだわ!

 

真理子の結婚式で披露したい動画、今編集してたの。もうしめきりが近いから、悪いんだけどチェックしてくれない?明日直したらいいところとか、連絡ほしいの。ごめんね~

 

ほうほう、あの飽きっぽい今日子が、こんな時間まで動画の編集?おもしろいわね。よし、観てみよう。

 

「良かったら、WIFI使ってください。」

 

え?店主の女性が、またここでも気の効いたひとことをくれたわ。

 

「ねーちゃん、メニューの中にも、WIFI 0円って書いているよ!」

 

こういうことにはよく気がつくのが、たけしなのよね。へー、でも、メニューの紙の中にこうして書かれてるってのは、いままで気付かなかったわ。おもしろいし、これもこのお店らしくて、本当にそうあるべきって気にさせられるわね!

注文したメニューの数々とそれを照らす手製の照明

 

とか、いいながら、どんどんはしを進めてるんだけど・・・いつもながらなんていうおいしさなの?!毎回思うのは変かしら?

 

「うーん、このレバーもトマトもなにもかも最高!すべてに手がかかっているんだよね。」

 

たけしがえらそうに分かったようなことを言ってくる。たしかに、それは当たってると思う。けど、それじゃ正解とはいえない気がするわ。

そう、手をかけようと力んでさえいなくて、自然とそうなっているんだと思うわ。意識して工夫してないっていうか。

 

だから、きっと手書きのメニューも、いわしやトマトという材料も、この空間もすべてデザイン?としてとらえてるんじゃないかしら?だから、メニューの中にWIFIがあったり、それに、ああ、見落としてたわ、それに店名が舌笑と書いて、ゴチって読ませるだけじゃなくて、これで一文字として作ってたりするんだわ。

いろいろ納得した気がする。

あ、そうか真理子の結婚式用の動画をチェックだったっけ?とそのまえに、やっぱりハッピー高円寺の今日のブログをチェックしよーっと。結婚する真理子は、あとあと!

 

舌笑
高円寺北2-7-13 高円寺銀座ビル3F右
03-3338-7077

■編集後記

文中でたけしの姉(まだ名前は公開されません)が言っているとおり、すべてが必然、デザインと思わせてくれるお店です。狭い空間が、逆に、リラックスと拡がりを感じさせてくれます。そして、同じく、たけしの姉が言っているとおり、店主の女性は、自然に工夫をされている、それはもちろん工夫というものが好きだからで、工夫せざるをえない方なのだと思いました(笑)。

たんなる表面的なおしゃれ、ロハスとは違った快適な空間が待っています。「ごちになります!」といって、だれかと行ってみましょう。それだけでは、「ありがち」かもしれないので、「ありごち」という言葉でしめくくりたいと思います。もちろんこれは・・「ありがとう、舌笑さん」の略です。

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著者について

HAPPY!高円寺の編集スタッフです。このホームページのメンテナンスなども行っています。なお、掲載されているお店情報に誤りや変更点があれば、問い合わせフォームでお知らせください。新しいお店情報などをいただくと、なお嬉しいです。よろしくお願いいたします。