【前回までのカウンセリング内容】
就活がうまくいかなかったことをきっかけにひきこもりになってしまった息子のことで、母親がカウンセリングに通っている。カウンセリングを受け続けているうちに、自室に閉じこもっていた息子は家の中だけなら出てこられるようになり、家族との会話もするようになってきた。また、仕事に追われ家族の問題に目を向けていなかった父親も、母親のカウンセリングに付き添う形で徐々に問題に向き合うようになってきた。
そのタイミングを見て、カウンセラーは2つの提案をした。ひとつは、この両親に「ひきこもり親の会」に参加してもらうこと。もうひとつは、自分たちがもしいなくなってしまった時に息子にどのぐらいの財産を残せるかをはっきりさせておくために、遺言状を書いてもらうことだった。両親がいなくなっても、自分の住居や使えるお金がどのぐらい残されているかがわかっていれば、その時までにどのぐらいのお金を稼ぐ当てをつけておけばよいか、どの程度の生活能力をつけておけばよいか、この息子が判断できる。ただやみくもにひきこもりをやめていきなりバリバリ働くことを考えるよりも、そういう具体的な目標があった方がひきこもり脱出のための現実的な行動が取りやすいとカウンセラーは考えて、この提案をしたのだった。
今回のカウンセリング
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![]() また、「親の会」にはお子さんの回復がだいぶ進んできたというご家族も参加されているでしょうから、会に参加を続けていただければ、そういった方たちからお子さんへの対応も学んでいけると思いますよ。遺言状についても、息子さんが読んでくれていれば、息子さん自身で将来のことを具体的に考えるきっかけになってくるでしょう。 |
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![]() 私がカウンセリングの中で使っているFAPという心理療法は、ミラーニューロンという脳が共感を持ってつながるはたらきを利用したものです。今までのカウンセリングの中でも、おふたりの緊張感やストレスの影響を下げていくのにFAP療法を使ってきました。 |
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![]() 息子さんは、就活に失敗しご両親に対して期待を裏切ってすまないことをしているという罪悪感を強く感じていると思います。以前にもお話ししましたが、息子さんは罪悪感で自分を責め、なんとかひきこもりから脱出しようとしています。しかし、罪悪感や自責感がストレスになって脳から身体にまで影響が出ているので、動こうとしても身体がついてきてくれません。すると、動けない自分をますます責めるようになり、脳と身体にかかるストレスがさらに増えてますます動けなくなるという悪循環にはまっているのです。そこで、私はFAP療法を使って息子さんの脳に働きかけて、ストレスや罪悪感を軽減していったり、身体の不調の一因となっているホルモンバランスの乱れをホルモン分泌の指令を出す脳から改善していくようにしていきます。 この効果は、1、2か月ぐらいで出てくるかもしれません。息子さんの身体が少しずつ動くようになってきたら、散歩や近くのコンビニへの買い物などの無理のない範囲で、徐々に外に出ることを試みてもらうといいでしょう。 |
(つづく)
心理相談室サウダージについて
☆心理相談室サウダージは、高円寺庚申通りで「家族問題(虐待、AC、DVなど)、お子様の問題(不登校、ひきこもり、発達障害、成績不振など)、アルコー ル・ギャンブルほかの依存症、摂食障害、職場・友人・恋愛などの人間関係の悩み、トラウマ、自傷行為、生きづらさなどの悩み」といった幅広いご相談を受けています。
- 心理相談室サウダージのホームページ(http://www.saudade.biz/)
- 室長前田のプロフィール(http://www.saudade.biz/profile/)
☆心理相談室サウダージでは、毎週火曜日の夜、ひきこもり・不登校・対人緊張を感じるなどの当事者のグループ・カウンセリングを行っています。
詳しくは、相談室のウェブサイトをご覧ください。
※本記事は「HAPPY!高円寺」連載記事『心理相談室サウダージの人生らくらくカウンセリング』をバックナンバーを含め公開(毎月10日頃更新)したものです。