さて、新コーナー、3日坊主とならないよう、第2回目が静かに始まりますよ。本日は昨日にも増して、ピーカンな夏日でした。皆さん、温度差には気を付けて夏を満喫して下さいね。
さて、夏らしいと高円寺でも、エトアール通りを特に歩きたくなることがあります。それは、いったん汗をかいてしまえば、時折陽射しに触れて汗を乾かしながら、また日陰に入るのが気持ちいいからで、そんなことが商店街のまち高円寺ではいとも簡単、中でもエトアール通りは、アーケードが無いぶん、それに向いているからです。ということで、外出ついでに午後3時過ぎにはエトアール通りに立ち寄っていました。
昭和の匂いも漂わせつつ、平成生まれの子供たちの輝きを支えている独特の空間が今日も眼前に広がっていました。なんだか、原風景っていうのがあるとしたら、これもそれに当てはまるんじゃなかろうか?熱風が交ざり始めた通りの中で、そんなことが自然に浮かんできます。寅さんや異人たちとの夏のあの風景のような、こんな日には打ち水があるような風景・・・。そうです、打ち水があるといいかなという風景と空気の中にいたんです。
すると、どうでしょう?!
「アームレスリングで負けたらお買い上げ下さい 勝者には無料進呈!」「焼きそば100円」という文字と共に焼きそばが置かれた台が路傍に突き出ているではありませんか。まさに抜き打ちという感じでした。これがスパゲッティならサデンインパクトとでも言い表してもいいんですが、要は同じ意味です。やっぱり原風景だったなと、摺り寄せられていきました。
写真には映っていませんが、マトリックスに梶芽衣子さんが出演したらきっとこんな容姿のはずと思える、黒いサングラスが涼しげな女性が台の向こうに座っていました。昭和と平成を足して未来と過去で割ったような佇まいに、気付くと僕はリラックスして話し掛けていました。
「何ですか?これ?」
「はい、この店のマスターが元警視庁30年でして、今昼寝してるんで、対戦は出来ないんですけど。」
「面白いです!(店の看板を指して)お店はスナック~?」
「美星(ビスター)と言うんです。」
聞けば、この女性は店員の方ではなく、お客さんだそうで、こうした「出店」はお祭りの際には必ず行っているとのことでした。つい先日は月島の祭りにも出したし、今度は、阿波おどりにももちろん出すとのこと。
「マスターは、占いもやっているんですよ。」
「え?」
そうして「ラーラぱど」というフリーペーパーを中から持ってきてくれました。
「この誌面で連載もしているんです。・・・えーと、中々見つからない、・・・あ、マスターに聞いてみますね?」
「あ、いいですいいです、起こさないで下さい。」
その声は届かず、既に店内に入る女史、結局マスターを起こしているようで、「HAPPY!高円寺さんが・・・何ページ?」のような声が聞こえていました。
そしてラーラぱど7月号P.61に” 大好評!大清水高山先生の占い館「美星」”とあるのが分かりました。
聞けばこの女史も、大きな声では言えませんが、日本で唯一の○○なる肩書きもお持ちだとか。一連のかげろうでも幻聴でもない現実に対し、私は一礼し「HAPPY!高円寺を応援して下さいね。」と逆光線を見るような視線で告げるとその場を後にしました。
商売が難しいと言われる高円寺。それは、裏返せば、そこで商売を営み続ける人達の創意工夫、あるいは、必然的な工夫がそこらじゅうに溢れているということかもしれないな、と夕方になるにつれ、頭が冷えたのか、そんなことを考えていました。